今より少し未来、地球温暖化の影響で溶けたヒマラヤの氷河の中から「方舟」が出てきたところから物語は始まる。

主人公は溶けた氷河による下流の被害を少しでも減らすためのダムを建設する会社に勤めている。そして、「方舟」の第一発見者でもある。「方舟」を発見したばっかりにすごい騒動に巻き込まれてしまいます。

溶けた水を受け止めたダムに浮かんでいた「方舟」は、木製で鑑定結果は約5千年前のものだという。気になる船の積荷は、非常に保存状態の良い大量の木簡。木簡にはひたすら蓮華模様がびっしり描かれている。この模様はメッセージなのか?

蓮華模様の謎を解けると触れ込んで研究チームに参入してきたロータスという日本人と関わったばかりに、主人公は有給を使わされ、職を辞めさせられ、退職金まで巻き上げられ、前歯を一本失くしてしまう。そこまでの事態になっても主人公がロータスについていってしまうのは、ひとえに「デザイナー」のメッセージを知りたいがため。ロータスはメッセージ解読のために冷静に冷酷に計画して、人を、組織を巻き込み、メッセージ再現のために動く。最終的には数万人巻き込んでの大騒動を起こすまでに至る。

読んでてすごく面白いと思ったのは、メッセージを解読して、それがどうも遺伝子情報だとわかってきて、木簡の設計図どおりに再現してしまおうとしているあたり。何が生まれるのか?どんなメッセージを持っているのか。本当に生まれるのか?という展開が面白かった。
その後の大衆を巻き込んでの大騒動も、知的な戦略が多くて楽しめた。ラストは微妙な気もしたけど、前回の宇宙の作り方にしてもこういう今現在答えの出てないテーマを扱ったときには避けられない問題だと思う。

「神さまのパズル」も面白かったけど、こちらの方がぐっと良くなりました。専門用語もそんなわかりにくくなかったし、次回作が楽しみな作家さんです。

また間が・・・

2004年10月31日 読書
旅行記をアップしました。楽しかったです。

気がつくとまただいぶ経ってるなぁ。時間が流れるのは早いものです。

何読んだかな・・・えーと。
「夢幻巡礼」(西澤保彦)
「念力密室!」(西澤保彦)
「ブレイク・オブ・ディスティニー」(神坂一)
「ガンパレードマーチ 5121小隊九州撤退戦 上下」(榊涼介)
ぐらいかな。

「夢幻巡礼」はチョーモンインシリーズの番外編とかでやたらとダークで暗いお話。その上シリーズの最後はなにやらアンハッピーな展開になりそうな暗示まである。あとがきでラストはハッピーエンドとか書いてたけど、心配。て思ってたら、「念力密室!」の最後のお話がまた哀しいラストを仄めかしてるような。どうなるんだろう?

「ブレイク・オブ・ディスティニー」はスレイヤーズすぺしゃる。もう23巻にもなるらしい。すごいな。よくネタ尽きないなぁ。孫バカじいさんズがすごかった。あと、珍しくリナが大儲けしている話があった。ナーガが絡まなかったからかな。

「ガンパレードマーチ 5121小隊九州撤退戦」
撤退戦は実際には一回しかしたことないなぁ。厳しかった。
毎回思うんだけど。小説のガンパレ読んだらゲームしたくなるんだよね。壬生屋でグッチー恋人にしたいなぁ。22人プレイの方法ネットで探したら30分以上かかってやっと見つけた。なんか掲示板とかでもお答えしませんとか断り書きついてるとこ多くて苦労した。紙に書き留めておこう。そんでケースに入れておけば安心だ。いつでもできる。

肝心の小説の内容は、すごいです。もういろいろ盛り込まれてておなかいっぱいです。最初に比べると、5121のメンバーも成長が著しくて感激です。恋とか友情もそれぞれちゃんと白黒つけてるし。そのほかの小説オリジナルの登場人物たちも、それぞれの役割を果たしてるし、すごいなぁ。
ゲームで言うと、撤退戦はエンディングのひとつなので、ループ云々は置いとくとして、一応これで一区切りということになる。これで最後かもしれないんだなぁ。名残惜しい、この人のガンパレはとても好きだ。
黄色とイラストが目を引く表紙の本。
何気なく借りてみたら面白かった。すごく得した気分。

「宇宙は作ることができるのか」というテーマに取り組むことになった綿貫たち鳩村ゼミの面々。作れる派になった綿貫と一緒に組むのは、天才少女穂瑞。飛び級で16歳にして大学に入った彼女は、かなり、いやすんごく優秀。ずけずけとした物言いや無表情で周囲の誤解を招いている。

主人公綿貫は、なかなか職が決まらずに焦っていて、進路、卒論、研究課題などなど考えることがいっぱいあって、いっぱいいっぱいらしい。なのに諸事情から田んぼのお手伝いまですることになってしまって、ぐるぐるしてます。「宇宙は作れるか」のディベートに勝たなければ単位すら危ういのに、状況はあまり良いとはいえない様子。

作中でポンポン理科系用語が出てきてかなりちんぷんかんぷん。宇宙は興味深い題材ですが、何とかの法則やらなんやらは理解が難しい、つかわかりません。でも、物理って面白いかもとは思いました。森ミステリとはまた違った理系ものでした。
小中学生のときすごく好きだった少女小説の作者さんが、名義を変えて幻想怪奇小説やミステリを書いてらっしゃることに最近気づいて、借りてみた。まずは、一作目の「妖都」から。

これは日記を休んでた間に読んでいたのだけど、正直言って好みじゃない。カリスマアイドルの自殺、そのファンによる後追い自殺、両性具有、生者を殺す見えない生ける屍などなど、材料やお話の展開は面白かったのに、広げた風呂敷包んで終わってない。いちばん苦手なパターンで終わってた。後はご想像にお任せしますということなんだろうか、単に私が読み取れてないだけなんだろうか?幻想怪奇モノは好みじゃないかもしれない。

まぁ、でも最後が好みじゃなくっても面白かったわけだから、次も読んでみた。それが「蘆屋家の崩壊」
「伯爵」と呼ばれている男とやたらと不幸な目に遭ってる猿渡が出会った、不思議な出来事を短編連作形式で綴ったもの。二人のやりとりが軽妙で楽しい。出会う出来事もバラエティに富んでる。冒頭で20代のときはいろいろ災難に遭ったみたいなこと書いてる猿渡さん、短編読んでいくとほんとにかなりの勢いで不幸。この不幸っぷりは関君以上かも。サルは不幸になる星の元に生まれてるんだろうか?
ミステリっぽくもありつつ、幻想怪奇のエッセンスも入ってる。京極堂やQEDみたいな要素もあるけど、決定的に違うのは怪異がサラリと現実になることころ。
あと、「伯爵」がとっても物腰柔らかそうにおっとり喋る感じも素敵です。

「ルピナス探偵団の当惑」は津原やすみ名義で書いてたものを、本格ミステリとして焼き直したものらしい。少女小説の方は未読。だからなおさら面白かった。
主な登場人物は女子高校生三人と男子高校生一人、職権乱用警察官二人。平均年齢が低いからか彼らの会話はとってもコミカル。間の取り方が良い。そうそうこういう感じが好きだったんだと再確認。またほかのも読んでみようという気になった。
建築探偵、第二部終了だそうな。
区切りって感じは正直全然しないんですけど、どの辺りから第二部だったのかな?

桜井京介の闇にあんまり触れられてないような。きっとそこが今後重要なポイントになるんだろうなぁ。早く知りたいものです。

それが知りたくて読んでるようなものだから、今回のお話はちょっと退屈だったかな。面白くないわけじゃないんですけど、東京ってよく分からないから、地名とか地下鉄とか建物とか名前出されても全然イメージ沸かなくてつまんない。古き良き建築物も憧れとかはあっても、思い入れはないからあんまり共感とかないしなぁ。

垣間見ただけではっと息を呑んでしまうほどの美貌の桜井京介とか、過保護な保護者いっぱい持ってる素直な性格の蒼とか、言ってみれば女性の好きそうな設定を結構いれてるのに、主題が近代建築でとっても硬派。そこが不思議で面白いと思う。
なんだか随分と時間が経っててびっくりです。
サッカー観戦の日記とコスプレイベント見学の日記を書きました。

ここでは、休んでた間に読んでた本のタイトルだけでも列記しようかと思います。忘れてるの多そうですが。順不同です。

「ラッシュライフ」(伊坂幸太郎)
「陽気なギャングが地球を回す」(伊坂幸太郎)
「Ave Maria」(篠田真由美)
「妖都」(津原泰水)
「幻惑密室」(西澤保彦)
「実況中死」(西澤保彦)
「赤きマント」(物集高音)
「吸血鬼の壜詰め」(物集高音)
「マリア様がみてる いとしき歳月(後編)」(今野緒雪)
「マリア様がみてる チェリーブロッサム」(今野緒雪)
「迷宮からの脱出」(鏡貴也)
「やりきれない破滅への序章」(鏡貴也)

他にもある気がするけど、思い出せないや。

まぁ、こんなものです。
暁の天使たち外伝1です。

外伝というよか本編の続きじゃ?みたいな内容です。これに関しては作者も述べてたのですが、前の巻で完結って宣言する意味がなかったですね。

内容は前のお話の続きで、ルウの暴走による太陽爆発を何とか防いだ後、どのようにして脱出したのかが描かれています。怪獣夫婦の論点がずれてる夫婦喧嘩が素敵でしたね。あの夫婦はお互いに、パートナーは同姓にもてているという認識を持ってるのです。ま、事実ですが。それでお互いに、女王は昔からすこぶるつきの美人をはべらせてとか、海賊はいい男に言い寄られてたとか言い合うわけです。どっちもどっちです。

みどころはリィがお菓子作りをするところかな。リィお手製のクッキーを前に硬直する元アサシン三人が可笑しかった。それにしても死ぬほど甘いものが嫌いなくせに、リィのお菓子を作る手つきは無駄がないし、知識も豊富そう。流石というか、なんというか。

あと、中学生になる息子がいる男が、数十年ぶりに再会した母親からあやうく尻たたきの罰をうけるはめになるお話も収録されてます。ほんとダンは宇宙一不幸な男だね。それにしても、ジェームズはめげない子供だ。彼の先行きが不安です。
革命シリーズ2と3。

「紫嵐」は在日カンボジア難民の鳩の視点で語られる。断鎖の亮司と同じようにいつの間にか大きな流れの中に巻き込まれ、裏切られ、ぎりぎりの選択を強いられます。事の発端は頼りになるとは言い難い相棒チューンが、ある男を殺したと疑われたまま姿を消したことから始まります。たいしたことなどできないはずのチューンを追って根岸組や北京系が動き出し、鳩もそれらの勢力に逆らえず、保身のためにチューンを探し始めます。

鳩がモグリの医者のところで出会うすみれという名の少年は、不思議な魅力の瞳を持つチューンよりよっぽど頼りになる同志。彼はどうやらお話の重要な位置にいそうな感じです。

「心洞」は日本人の少年ヤスフミと少女エナの視点で語られます。責任やしがらみを嫌い中途半端に裏社会に関わって生きているヤスフミと、家出少女のエナ。二人で静かに穏やかに生きていられればそれで良かったのに、暗闇に飲み込まれてしまいます。
「紫嵐」では追う側だった鳩が、今度は裏社会のいろんな勢力から追われる立場になっているようで、ヤスフミは鳩探しの手伝いをすることになります。

こういう現代の日本を、特に裏社会とかを舞台にした小説を読むと、ただ面白いと思うだけじゃなくて、もっとこの国のことを深く考えろと言われてるような気がする。密入国とか不法滞在とか亡命とかテレビから流れてくる他人事な事件をもっと身近に感じろって言われてる気がする。だからこういう小説は私には重い。少し苦手かな。
またまた人に薦められた作品。やっぱりおすすめってのはいいものです。好みで合う、合わないはあっても、当たり外れは少ない。

新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した作品のようです。巻末に最終選考に残った4作品の批評が載ってるんですけど、その中に「迎え日」という作品がありまして、主要な登場人物3人の名前が「それでも、警官は微笑う」とかぶってて、作者の名前は違うんですけど、もし同じ方の作品だとしたらちゃんと芽が出てデビューされたんだなぁと思うと嬉しかった。

で、肝心の「オーデュボンの祈り」ですが、なんともすごいや。面白かったです。
本土の人間は誰も知らない鎖国状態の島があるんです。その島には預言者というか何でも知ってる喋るカカシがいて、島民の絶大な信頼を得ているのです。それだけだとオズの魔法使いみたいなメルヘンなんですけど、ミステリですから殺人事件が起きます。被害者はそのカカシなのです。島民は優午と呼んでます。何でも知ってる、未来さえ知ってる優午がどうして自分が殺されることを予知できなかったのか、主人公はその謎に挑むことになります。

荻島というのがその島の名前で、主人公の伊藤は目が覚めたらそこにいた。その島で唯一本土と行き来をしている轟に拾われてきたらしい。架空の異国・荻島にはいろいろ不思議が多い。電柱や看板がなくて自然が多くて住んでる人ものんびりしてる。でも、そこは楽園かというとそうでもなくて、やたら島民の犯罪の描写が多い。牧歌的なのに意外。そもそも、何でも知ってる優午がいるのに、どうして悪いことするのかなぁ。すぐばれるのに。
そのうえ、銃を持ってて自分の判断で人を裁ける(ていうか処刑する)桜もいる。この人はすごい。どういう基準で罪人を判断してるのかすごい見え難い。銃を向けたら問答無用で撃ってる。けど、皆は桜だから、で納得してる。一種の天災だと思ってるようだ。ほかにも個性的な人が多い。喋るカカシが気にならなくなるくらい。

読後感はなんだか優しい感じ。心があったかくなりました。
いろいろなんでやねん!て突っ込むところ多いけど、あんまり気にならない。カカシが喋るメカニズムとか、荻島の成り立ちとか、気になるけど、気にしなくても読める。
タイトルに惹かれました。

何の予備知識もなく読み始めたら、けっこうショッキングな内容でした。主人公はひきこもり歴四年の大学中退者。視線恐怖、広所恐怖などと戦いながら、このままではだめだと自分を変えようと努力してる。そんな彼の前に不思議な少女が現れ、あるプロジェクトの参加を呼びかける。プロジェクトの裏に隠された真意などなかなか驚きの展開を見せます。

ひきこもり、ドラッグ、エロゲー、ロリコン、宗教勧誘などなど、暗い単語ばっかりなのに、読後感はなかなかスッキリ。
なんだろう、このままじゃだめだ、社会復帰を果たさねば!と意気込んでは失敗する(寧ろますます悪化の一途を辿ってる)ひきこもり主人公の前向きさが、暗い雰囲気のお話で終わらせてない感じ。

どうやら、この作品漫画化もしてるらしく、コミックが出てた。マンガにしづらそうなんだけど、どんなってるんだろう?

明日はデスノート3巻が出るらしい。明日は昼出勤だから早めに出かけて買って、仕事の前に読みたい。もうすっごい楽しみで楽しみで仕方がない。早く明日にならないかなぁ。
薬屋さんの最新刊。今回は本筋から離れたお話らしい。なので、あんまり探偵してないですね。二話構成で一話は、上流坂警察署の刑事高遠さん視点で語られ、二話は薬屋さんサイドで語られます。高遠さんはけっこう好き。葉山君はもっと好き。多分この作品の登場人物の中でいちばん好き。だから、もっといっぱい出してほしいなぁ。
ザギの原型はかなり好き。黒い犬みたいな猫みたいな形らしい。毛並みがすごい良いらしい。さわりたーい。
ゼロイチも好きかな。悪魔なのに貧乏で、内職とかしてるとこが面白い。

一話で一応お話に決着をつけつつ、二話でもう一度ひっくり返すみたいな構成になってる。最後が良かった。うん、なんというか成長が見えていい。なんでかな、「っポイ!」みたいだなって今思ったよ。高遠パパもいい感じの人だ。少年の父親に話した台詞が良かったなぁ。人を育てるって難しいよなぁ。

裏表紙のあらすじ紹介の最後に「薬屋ファンタジー」てあった。ファンタジーって・・・。ミステリはどこに行ってしまったんだろう。ファンタジーの方が確かに似合ってるけどさ。

真っ暗な廊下(うちの家は廊下に明かりがない)を歩いてたら思い切り掃除機に蹴躓いて、強かに膝を打った。めちゃ痛かった。すごい音がしたのに、親たちは身じろぎもしなかったよ。
メフィスト賞受賞作「それでも、警官は微笑う」の続編です。
前作好きだったので、続編は素直に嬉しいです。

鬼畜と渾名される武本刑事と、警視庁の治外法権と囁かれる潮崎刑事のコンビがまたもや活躍です。
といっても潮崎は、前回の事件は原因で一旦警視庁を退職してるので、正式復活じゃあないんですけど。彼は上層部から警察を変えていくために、偉くなって帰ってくると約束してたのです。どこかで聞いた話みたいですね。そちらの二人の性格とはずいぶん違ってますが、この作品のコンビもかなりの好相性です。無口な武本と多弁な潮崎は、お互いに良い影響を与えあってて微笑ましいです。

今回は不法滞在の外国人が生んだ子どもたちがお話のテーマです。日本に密入国している外国人女性が日本で子供を産んだ場合、日本人と結婚するとか認知してもらうとかしないと、その子どもたちは無国籍の存在しない人間になってしまうという現実があります。
そういう子どもたちは、食べるものも満足に与えられなかったり或いは虐待されたり、あるいはもっとひどい状況に陥ったり、不幸せな状況に陥りやすいです。異国の地で弱い立場の不法滞在の外国人のなかでも、いちばん弱い立場に立たされているといえます。そんな彼らを気の毒に思い手を差し伸べることは悪いことじゃない。でも、その方法が法的には違法にあたるとしたら?正規の手続きを踏むことが難しい状況だったら?そういうジレンマに武本、潮崎コンビは悩むことになります。

潮崎のいない今現在武本の相棒は、冷血と渾名される和田刑事。まるめた背中、覇気のない顔、煙草を吸うときの独特の仕草、一見したところはやる気の感じられない人物ですが、取り調べのときには愉悦ともとれる笑みを浮かべて、容疑者を精神的に追い詰めます。何が彼をそうさせているのか、再犯をやめさせられるのは、温情か見せしめか。これも今回の重要なテーマです。
エル・ウィンの七巻。

前回では、武官弁護士やドラゴンスレイヤーにはなにやら怪しげな人体実験が行われているらしい、という話が出たところでお話は終わっていたのですが、今回はその続きで、じゃあ、その人体実験をした「統合研究所」とやらはいったいどれほどの影響力を司法庁内で持っているのかを調べて、また「統合研究所」を牽制するために、ウィンやミアたちは司法庁を大きく巻き込む騒ぎを起こします。

その隙に研究所に乗り込むのですが、そこでもまた激しい戦闘になり、ウィン大ピンチ。それだけでなく、ミアにも異変が起きてしまいます。意外や意外、彼女は主人公に恋するだけのただのヒロインじゃなさそうです。なにか鍵となるものが彼女の中にはありそうな感じ。ますます面白くなってきました。今後はどうなるのかなぁ。
「ダヤンとわちふぃーるど物語」という本を借りました。ごっつい大きい愛蔵版です。これには今まで刊行された長編ファンタジーの「ダヤン、わちふぃーるどへ」「ダヤンとジタン」「ダヤンと時の魔法」の3作目までが収録されています。挿絵がすべてカラーでとっても可愛いです。こういうパステルで描いたあったかみのあるイラスト好きだなぁ。

内容は、わちふぃーるどの成り立ちを語るということで、特別な猫ダヤンが生まれるときから、ヨールカの魔法でわちふぃーるどへ呼ばれたときの話、わちふぃーるどで待ち受けていた運命、死の森でのダヤンの活躍、遙かなる過去への旅などが描かれています。

絵本やキャラクターグッズぐらいしかダヤンを知らなかったので、ダヤンやマーシィ、イワン、ジタンなどわちふぃーるどの仲間たちのことを初めてよく知りました。とても生き生きしてて、素敵な仲間たちなのです。特にダヤンがあんなに無邪気な人柄とは思わなかったなぁ。目つきが悪いから、てっきりわがままだったり、意地っ張りだったりするのかと思ってました。

一番驚いたのは、この一冊じゃあお話が完結してないこと。ものすんごくいいところで終わってるんですよ。もーすっごい驚いた。まさかあの厚さで完結してないとは思わなかったです。長編シリーズの前編ということらしい。てことはあの厚さのがもう一冊いつか刊行されるということか、一冊5000円なんだけど。まさに愛蔵版。買うとなったら清水ですよ。

で、4作目が「ダヤンとタシルの王子」なのです。何も考えずに借りてたけど、よくやったと自分を褒めてやりたい。それほどいいところで愛蔵版はお話が終わってるのです。

時の魔法で崩壊前のアビルトークに辿りついたダヤンは、そこで驚きの再会を果たします。まだわちふぃーるどがアルスとつながっていた時代では、神と巨人の戦争が激しさを増し、多くの国や街が焼けてなくなっていました。戦争の気配は1000年前のタシルにもやってきていて、住民たちは戦争に備えてピリピリしてます。死の森の魔王も健在で虎視眈々とタシルを攻める機会を窺っていて、いろいろありそうな感じです。

まだまだお話は続くようですが、この後はどのようにしてわちふぃーるどは出来上がったのか、それにダヤンがどう関わったのかが描かれるみたいです。早く読みたいなぁ。
武官弁護士エル・ウィンの5巻6巻です。

またぶっとおしで読んでしまった。あやうく7巻にも手が伸びそうになりました。いかんいかん。いっぺんに読むともったいない。

そろそろ伏線とか明らかになるのかなぁという展開です。特に「執行猶予のバカンス」の方は読者の目に明らかになる形で、真実の欠片が出てきました。「法廷の魔術師と呼ばれた男」では、最後にウィンが入った施設の内容がぜんぜん描写されなくてやきもきした。

「法廷の魔術師と呼ばれた男」では、「検事官はお年ごろ」に続いてまたもやウィンに恋する美女が登場。ミアちゃんは心穏やかではいられません。ていうかウィンはもてるんだね。まぁ主人公だしな。
ウィンの恩師であり、美女ユフィの父親でもあるクァトロスに呼び出しに応じたところ、クァトロス殺害の情報が。しかも容疑者は軽薄ナンパ武官弁護士のルイ。ルイの依頼で真犯人探しをはじめるウィンたち。事件の裏にはウィンの辛い過去が絡んでいた。
かなり残念な結末。もっと活躍があるかと思ったのになぁ。にしてもあんまり弁護士してないよな。

「執行猶予のバカンス」
ウィンに美味しい朝ごはんをと料理に挑戦するものの、出来上がるのは黒焦げのトーストと目玉焼き、というお約束を実践するミア元王女。お話がシリアスな方向に動こうとも、乙女回路は元気にフル稼働中のようです。でも、本編でも言及しているようにミアさんの想像力はけっこう単純で、「なんて素晴らしいんだ、ミア。結婚してくれ。きゃーvv」みたいなシチュエーションばっかで、もう少しバリエーションがほしいところです。
前回の事件の後見つかった紙片から読み取れた研究所では、意外な人物の姿が。その人の導きで目にした新たなる真実の欠片。武官弁護士育成に関する残酷な秘密。いったい司法庁にはどんな闇があるのか。
かーなり前の巻まで遡って明らかになる意外な事実ってのがいい感じです。先がだいたい読めなくもないけど、それを更に裏切ってくれることを期待してます。

この展開じゃ仕方ないけど、弁護士が名前だけになってきてる。逆転裁判みたいなのを想像してただけに、残念な感じ。雑誌連載の短編とかだと裁判とかやりやすいんじゃないかなー。
新刊だと思って借りてみたら、ほとんど読んだことある作品でした。がーっかり。最後の「マリアの指」だけ書下ろしでした。

どうやらライトノベルとして世に出された作品を、もっと広く一般に読んでもらうために、シンプルな装丁の単行本として出版したらしい。正直、この人の作品て、私の思うライトノベルトとは少し違うと思う。だから、こういう形が合ってるかもしれない。

ライトノベルって抵抗ある人多いよなぁ。ミステリ好きの友達も、最近増えてるイラストついてるミステリは読まないって言ってたもんなぁ。デルフィニア戦記もイラストなしの文庫が出てるし。イラストつきの本を買うのは恥ずかしいって人は多いらしい。気持ちはわかる。マンガとか読んでると親にいい年してって言われるし。でも、面白いものは、面白いんだよなぁ。

で、感想。うん、何度読んでも切なくて良いお話です。あんまり救いがないのに、いいんだなぁ。
いちばん好きなのは、「しあわせは子猫のかたち」子猫のぬくもりとか伝わってくる。「Callinng You」も好きだ。どっちも悲しくなるけど、好きだな。

「手を握る泥棒の話」は最後どうしてアイドルに泥棒の正体がわかったのかわかんない。顔は見てないはずだし。手の感触でわかるとは思えないし。なんせ一年後の再会だもの。うーん。

書き下ろしの「マリアの指」は、切なさが少なめでミステリが多め。ホルマリンの描写のあたりは少し気持ち悪くなったよ。夜な夜な指を捜して線路を彷徨う姿は、かなり怖い。

あとがきが、妙にまじめでしたね。もっと面白い印象があったんだけどなぁ。本の雰囲気に合わせてるのかしら。

最後に、装丁がとっても素敵。この装丁が先にあったから、本のタイトルに「失はれる物語」を持ってきたのかも、とか思うぐらい素敵でぴったりな装丁。
タックとタカチのシリーズ以外も・・・以下略。

驚いた。これはすごい。めちゃめちゃ面白かった。

設定はこうです。主人公の大庭久太郎は、幼少の頃から不思議な体質を持っていた。法則性などなくある日突然、同じ一日を繰り返すようになるのだ。同じ日を9回繰り返すとやっと次の日がやってくるという法則らしい。久太郎が「反復落とし穴」と名づけたこの現象を認識できるのは、久太郎のみ。なので、一周目と違う行動ができるのは基本的には久太郎のみ。しかし、久太郎の行動によって他人の行動が変更される場合もある。反復中は、一日が終わるとその日の出来事はリセットされる。最終周つまり9回目の今日の出来事が、明日の昨日として採用されるという仕組み。

反復落とし穴に落ちることで同い年の友人よりも長い時間を生きているせいか、久太郎は随分と老成した高校生のようです。言葉遣いが可笑しいぐらいに丁寧。

事件は正月に起きました。複雑な事情があって3つの家族が集うお正月はいつも波乱含み。今年は久太郎の祖父が遺言状の書き直しを止めることを宣言。今年書いた遺言状が最終決定だと伝えたのです。そこからが大変。後継者には誰を選ぶのか、まだ決めていないという祖父に取り入ろうと、親戚たちが動き始めます。
そして一日が終了して祖父の家を辞去したと思ったら、目が覚めたら祖父の家。反復落とし穴が始まったことを知る久太郎。しかし、今までと違い反復二週目に、祖父の死体が発見されたからさぁ大変。かくて、三週目からは祖父を救おうと久太郎は頑張る事になります。しかし、これがなかなか大変。前週で祖父を殺したと思われる人を足止めしたと思ったら、別の所から思わぬ伏兵が現れるという次第。途中、思いがけない事実も判明して、嫌気が差したりもします。

最後にはものすごい驚きが待ってて、そうだったのかーと膝を打ちました。うん、ほんとに驚きました。すごい。
「武官弁護士エル・ウィン」「ハタ迷惑な代理人」「検事官はお年ごろ」「被害者はどこにいる?」の四巻まで読みました。

前々から気になってたシリーズ、やっと読めました。予想以上に面白かったです。文庫とはいえ二日で四冊読んでしまいました。普段は通勤電車でしか読まないのになぁ、家でも読んでしまいました。

主人公はエル・ウィン。巨大な法を司る組織、司法庁から唯一離反した武官弁護士。武官弁護士とは、普通の弁護士以上の権力を持つエリート職。緊急時などには裁判官のように人を裁く権限も与えられてるとか。ウィン本人は穏やかできっちりした性格。思考力というか推理力は抜群。すごい魔法も使える(この辺りがファンタジーしてる)仕事の評判は上々のようで、竜やら神やらすごいところから依頼が来てる。黒髪に真紅の瞳、三つ揃えのスーツを着こなす人。過去にはいろいろあったらしい。おそらく最大の敵は司法庁になるんだろうなぁ。

語り部はミア・ラルカイル。北大陸の亡国の王女で、お嬢様育ちというか随分とキャピキャピしてる(正直、彼女の一人称はうるさい)国を追われて二年、放浪の果てに司法庁が絶対的に支配してる(なんせ竜ですら法のもとに大人しくしてるのだ)南大陸に流れ着く。路銀が底をついて強盗をはたらこうとしたところでウィンに出会い、助けられる。その後秘書として彼のもとに留まることになる。彼女はウィンにラブラブなのだが、その気持ちは一向に伝わらないようだ。そのせいかしょっちゅう彼女の妄想がはさまれる。二巻以降頑張ってる感がよく出てる。元王女という設定が今後のお話のポイントになりそう。赤い髪をツインテールにしたアメジストの瞳の持ち主。

ファンタジーに弁護士っていうのがなかなか新鮮。ドワーフが探偵をする某シリーズを思い出した。ミステリーとしたらきっと穴が多いんだろうけど、まぁ気にしない。書いてるテーマやクライマックスとかは結構ぐっとくる感じで好感が持てます。

それにしても、キャピキャピ女の子の一人称って辺りが、どうも「スレイヤーズ」を思い出す。まぁ、ヒットしたから影響力は大きいだろうけど。そういや、神坂さんの新シリーズ全然読んでない。どうなんだろう。
前回と同じくお薦めされた作品。

これも面白かった。時代物もあんまり読まないんだけど、面白いんだ。これから読んでみようかな。

廻船問屋の長崎屋の若だんなは、病弱で有名だ。その両親が、砂糖をかけた大福のように息子に甘いのも有名な話。更に、若だんなが兄のように慕っている二人の手代が、両親に負けじと若だんなに甘いのも有名な話。でも、その手代たちが実は妖で、それどころか若だんなの周りにはいろんな妖たちが出入りしていることは、誰も知らない話。

そんなわけで、咳を一つすれば布団の中にくるまれてしまう病弱な若だんなと、妖たちが活躍する推理帳です。

ある理由から兄やと慕う手代たちにも内緒で遠出をした若だんなは、帰り道に殺人現場に遭遇してしまいます。後日その下手人は無事お縄につくのですが、いくつか納得のいかない点も。病弱で外出もままならない若だんなですが、妖たちが若だんなの目や耳となって情報をあつめてきてくれます。鳴家や屏風のぞきに野寺坊、獺など、頼りになる妖がいっぱいです。集まった情報からは意外な真実が。

どうしてもヒトの感覚とはズレのある妖たちの会話は面白いし、菓子を美味く作れなくて悩むけど前向きな幼馴染の栄吉は、ほんとにいいやつだし。佐助、仁吉の手代たちも素敵です。若だんなは、蔵をたくさん持つ大店の跡継ぎですごい恵まれているけど、なにより人に恵まれているなぁと思う。
それはやっぱり若だんなが、病弱であることに甘えない、心の強い人だからだと思う。自分のことを大事にして体を気遣ってくれる人たちに感謝しているからこそ、病弱な自分が当主として将来やっていけるのか不安でも口には出さない。そういう若だんなが好きだなと思う。

「ぬしさまへ」(畠中恵)
「しゃばけ」の続編。今度は短編連作形式。
いろいろ前作のネタばれがあるので、先に「しゃばけ」を読むといいと思う。

六つの短編が収められていますが、どれも面白かった。そのうえいい話だった。ぐっと来ます。特に「虹を見し事」が良かった。

全体的に見て前回に比べると、若だんなの探偵振りが目立ってます。短編連作なので謎を解く回数が多いから、というのもあるんだろうけど、とっても頭が切れる人なんだなと思った。
「革命を起こさないか、この国に。」ということで、革命シリーズの一巻です。

面白いですよーとお薦めされたので借りてみました。確かにおもしろーい。こういうヤクザが出てきたりする裏社会が舞台のものってあんまり読まないのですが、面白いものですね。

亮司は外国人の密入国を仲介する会社で働いている。主な仕事は、パスポートを申請するために必要な書類を騙し取る事。密入国の外国人を日本人として安全に空路で出国させるためだ。無事に出国させるために、日本人らしい振る舞いを覚える訓練も施す。学校と呼ばれるそこでは、常に外国人が寝泊りしている。

両親の束縛から逃れて、それなりに穏やかな日々、しかし、ある日、学校が何者かに襲撃されて何人もの死者が出る。同時に社長が行方不明になる。亮司は訳がわからないまま逃げる事になる。学校が襲われた理由、社長の行方などを追いかけるうちに、”xiao−guang”という言葉に出会う。それは皆が血眼になって探しているものだった。

いつのまにか嵐に巻き込まれていく亮司、水先案内人はサーシャと名乗る美丈夫。容姿も体格も頭脳も、全てにおいて神に愛されている男は、サラサラの黒髪で、真紅の薔薇の花束よりも存在感がある。亮司曰く、彼は”大人(ターレン)”なんだそうだ。

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