新刊だと思って借りてみたら、ほとんど読んだことある作品でした。がーっかり。最後の「マリアの指」だけ書下ろしでした。

どうやらライトノベルとして世に出された作品を、もっと広く一般に読んでもらうために、シンプルな装丁の単行本として出版したらしい。正直、この人の作品て、私の思うライトノベルトとは少し違うと思う。だから、こういう形が合ってるかもしれない。

ライトノベルって抵抗ある人多いよなぁ。ミステリ好きの友達も、最近増えてるイラストついてるミステリは読まないって言ってたもんなぁ。デルフィニア戦記もイラストなしの文庫が出てるし。イラストつきの本を買うのは恥ずかしいって人は多いらしい。気持ちはわかる。マンガとか読んでると親にいい年してって言われるし。でも、面白いものは、面白いんだよなぁ。

で、感想。うん、何度読んでも切なくて良いお話です。あんまり救いがないのに、いいんだなぁ。
いちばん好きなのは、「しあわせは子猫のかたち」子猫のぬくもりとか伝わってくる。「Callinng You」も好きだ。どっちも悲しくなるけど、好きだな。

「手を握る泥棒の話」は最後どうしてアイドルに泥棒の正体がわかったのかわかんない。顔は見てないはずだし。手の感触でわかるとは思えないし。なんせ一年後の再会だもの。うーん。

書き下ろしの「マリアの指」は、切なさが少なめでミステリが多め。ホルマリンの描写のあたりは少し気持ち悪くなったよ。夜な夜な指を捜して線路を彷徨う姿は、かなり怖い。

あとがきが、妙にまじめでしたね。もっと面白い印象があったんだけどなぁ。本の雰囲気に合わせてるのかしら。

最後に、装丁がとっても素敵。この装丁が先にあったから、本のタイトルに「失はれる物語」を持ってきたのかも、とか思うぐらい素敵でぴったりな装丁。

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