メフィスト賞作品を読もう月間第一弾です。

大学のサークル《あかずの扉》研究会のメンバーが流氷館と呼ばれる西洋屋敷で起きる連続殺人事件に挑む作品。

語り手は新入会員の二本松翔。探偵役は二人いて、会長の後動悟と自称名探偵の鳴海雄一郎。研究会の華におっとりした美人の森咲枝と元気いっぱいな由井広美、最後にどんな鍵も開けてしまう特技を持つ大前田丈、以上六人が研究会のメンバーです。
それぞれのカラーと役割がはっきりしていて良い感じです。大学生ということもあって、なんだか青春な爽やかさもあるし。

「本格推理小説ファンのみなさんに喜んでもらえるミステリを書いたつもりです。」と著者の言葉にあるだけあって、論理の応酬が繰り広げられます。語り手のカケルからして推理小説フリークだし。疲れるぐらいに細かいとこに注目します。

後動さんと鳴海さんの息の合った探偵振りが恰好良い。特に鳴海さんはスーツを着こなしてイギリス紳士を想像させられます。素敵だ。男泣きするところも素敵。カナヅチでも全然構わないわ。

今回の事件は連続殺人なんだから、もっと怖いというか印象深くてもいいはずなのに、被害者たちがなんだか薄ぼんやりとして印象が薄いのは、状況を伝えるのが携帯電話だけだからかな。語り手が見ていない部分で起こっているからだろう。なんだか、そんなにいっぱい被害者いたんだって最後にびっくりした。

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